お子ちゃま選手権決勝XLVIII (2012-01-08)

アサシンズ 15‐12 クラッシングオークス

雑感(試合前)

対照的なゲームプランを持つ(はずの)チーム同士の試合とあって、つまらない試合になっちゃあ困るよなあ、と考えていました。アサシンズのゲームプランについて有象無象が批判してるし、万万が一にもそんな雑音に耳を貸しちまったらくッだらねえ試合になっちまうぜえ。

個人的な嗜好を言えば、アサシンズよりもクラッシングオークスのゲームプランの方が好きですよ。しかし、アサシンズは決して合理性を欠くゲームプランではない。きよみゅのファイナルラグビー(笑)のように、前進できないFW戦で時間を空費するものとは一線を画すると考えています。

FW戦指向vsBK戦指向、漸進vs一発長打、こうした対照的なゲームプラン同士のチームの試合で最も重要なのは、相手のゲームプランと対照的なところに自らの強みがあるのならそれを強調し続けなければならない、ということです。相手の土俵で敢えて勝負するとき、それまでに試合を決めているのでなければ、戦略的には敗け試合です。

アサシンズのゲームプランを非難している連中って、世間並の知能すら見込めないうすのろか、さもなければアサシンズが来季も強豪であっては困る人なんでしょう。

岩出監督の発言:したいラグビーと、やれるラグビーは違う、小生はこれを誤りとは思いません。むしろ真理を言い当てていると愚考します。諸賢も職場や学校で、したい仕事とやれる仕事、したい研究とやれる研究の板挟みになったご経験はおありでしょうからね。

アンチアサシンズ発言の連中って、したい○○とやれる○○が常に一致する人生を歩んできた人たちに違いない。ぷぷぷぷぷ。

雑感

RWC2011に触発されたか、KO直前にどこかでホラ貝を吹き鳴らすやつがいる。新井氏か? ラガッツプロジェクトで新井氏がホラ貝を吹き鳴らして警備員に徹底マークされた時代の目撃者としては隔世の感があります。

前述の対照的なゲームプランを持つチーム同士の試合において小生がまず注目するのは、FW戦指向のチームのBK攻撃、BK戦指向のチームのFW攻撃です。数学ができないから文系に進むみたいなことをしていると人並みの成績も覚束んわな。

アサシンズは前半の速い時間帯からBK攻撃を組み入れています。1stスクラムより早いぞ。アサシンズがこれほど早くBKにも展開するとは。J sportsの藤島犬氏がアサシンズにはFW攻撃とSHのキック以外にないという趣旨の発言の直後ですね。#15竹田君のランでゴール前まで行っていますから、藤島犬氏は何を見て決め付けたのか。小生の見るところ、アサシンズBKも決して無視できぬ実力を示しています。アサシンズがFW+SHだけのチームであるとの見方には決して賛同できないと痛感しました。

オークスはアサシンズのようなFW攻撃は少なかったものの、散開戦でのBKのサポートは最後まで忠実に行なわれました。特に#4田村玲一君はすごい! 常にサポートに走り、ラインに参加すればBK並みのパスやランを見せたりくさびを打ち込んだりと、展開ラグビーを指向する球団のLOいやFWとしては理想でしょう。

へへへ、一回だけのけぞりました。後半16分台後半、左展開で4 on 2になったとき、順目の対角線に深く蹴っていれば試合を決められた局面で当たりに行っちゃんたんだよなあ。それでも対面の二人を跳ね飛ばして次のDFにタックルされながらも浴びせ倒す(後半16'59"/17'02")ところまで持っていけたので、まるっきりのミスチョイスではありませんでしたけどね。

田村君・井上君のオークスLO陣(#10立川君より少し太いくらい)は藤島犬氏に決勝まで来ていることが驚きですけど、高さで30'00"付近とまで言われていましたが、これは藤島犬氏の見識のなさのなせる業でしょう。ラインアウトでの不利を覆すだけの能力を示しているからいまここにいるんじゃないのか? そもそもLOに高さを求めること、ラインアウトのジャンパーをLOとすることに、小生は合理的な理由を見出せません。大昔のラグビー競技では大男のLOがスクラムで求められたのかもしれませんが、だからと言って現代のラグビーでラインアウトジャンパーに特化したスリムな長身のLOがスクラムでも力学的に有利であるという研究は行なわれているんだろうか。

愚考するに、ラインアウトでのジャンパーは高く跳べるやつがやればよい。スクラムでのポジションなど関係ない。LOがPRを持ち上げたっていいんだ。失礼、サポーティングでしたね。

弱小FWを擁していると自己規定している球団は往々にしてBKに展開するラグビーを指向しますが、結果はまず惨憺たるものです。展開ラグビーでそれなりの結果を出せる球団のFWは決して弱小でも虚弱でもありません。オークスFWは、セットプレイでこそ後手が続きましたが、アサシンズFWの圧力によく耐えましたよ。小生はお子ちゃま選手権2011をわずか3試合6チームしか観ていませんが、オークスFWをねじ伏せられるFWを擁するチームがアサシンズ以外にもあったのかという問いには否定的に答えざるを得ません。むしろオークスFWが相手を力づくでねじ伏せる気になれば可能だったかもしれませんね。

展開ラグビーを維持できなくなるのは、BKの実力低下云々もあるかもしれませんが、FWが自らの強さを直接的に誇示したいという欲求に屈したときです。

昔はスクラムで組み勝った第一列は、たとえ試合に敗れても意気軒昂だったと聞きます。今日ではどうか知りませんが、たとえ試合に勝ったとしてもダンゴを押し込んでトライを獲る場面がないとぶんむくれる/ぶんむくれるであろうFWどもは少なからず実在していそうに思える。そうした仮定がないと、いまだに犬モールをトライ獲得の常套手段と位置づけているチームの多さが説明できないよ。

あなたのチームがオークスみたいになりたいのなら、まずFWの思想改造から始めてください。ちなみに、アサシンズ#10森田君(身長172cm・体重82kg)の胸囲は110cmと聞きますが、どれだけのモチベーションを用意すればこうした結果を得られるのか皆目見当がつきません。展開ラグビーを指向するチームのFWとしてなすべきことをなせるまでにどれだけの障害が待ち受けていることか。しかも胸囲のように達成度の数値化/見える化ができないのです。…でも、やらなきゃいけないんだよ。

両チームに共通する特筆すべき要素はDFです。ラインDFのすぐ後ろに1.5次とでも呼ぶべきDFラインがいつの間にか形成されます。これができるのはトップリーグでも上半分からせいぜい2/3ぐらいまでです。つまり、両チームの好成績は堅守に裏打ちされている。ここ重要です。期末試験には必ず出ますよ。

オークスの誤算については先ほど述べましたが、アサシンズにも誤算はありました。後半、先に足が止まったのはアサシンズFWでした。これは意外! 後半KOからの5分間は、アサシンズがBK攻撃と言うかBKのみのOFの連続です。最初は目先を変える程度の意味合いだったかもしれませんが、途中からはFWを休ませるために敢えてBKのみで攻め続けた感もあります。この間FWのサポートが薄くなったことでオークスに攻め込まれましたが、ここはアサシンズBKが防ぎ、さらにはBKのみで逆撃に転じました。そうだ、アサシンズBKが三連覇のチャンピオンとして胸を張るにはここでの奮闘抜きにはあり得ない。驚くべきことに、このわずか数分の空き時間でアサシンズのFWは息を吹き返しました。しかしモメンタムを得るには至らず。

一進一退の攻防が続き、試合を動かしたのはオークス#11木村君です。アイシールド21ですか! ボールを持って逃げ回っているはずが、高速のステップでDFを切り裂きます。ここで木村君が抜き去った分が次の局面でのアサシンズの数的不利につながり、立川君のタテ突破、田村君のタテから#14宮前君の同点トライに結実しました。

同点しかも得点内容も一致と、大会レギュレーションを参照しないとどうなるのかわからないぞと思う一方、このまま両チーム優勝しちまえとも願ったり。両校優勝となれば、レフェリー相田氏が親の総取りというか一人勝ちも同然だな。

ここからの10分弱、両チームは自らの長所を以って相手を破ることのみを考えていたでしょう。大詰めで自信を持って行なえるプレイは多くない。たとえ相手に読まれていても、自分の最も得意とするプレイをぶつけるしかないだろうな。それ以外はギャンブルである。こうなると、相手よりも自分との闘いの比重が大きい。精神論? ああ、そうだよ。確率や成算よりも、どれだけ確信を持てるかだよ。このような局面では戦略家の出番はないし、戦術家の出番すらないかもしれない。繰り返しになりますが、そうしたプレイは決して多くはない。

まずはっきりしているのは、アサシンズはポゼッションよりもテリトリーを重視しなければならないことです。漸進に強みを持つ以上、自陣に逼塞しては単独優勝の目はない。一方、オークスは高確率でビッグゲインが見込めるので、テリトリーはさほど重要な要件ではありません。何回OF機会があるかだけが問題でしょう。

決勝点となったアサシンズPGは、まさにこうした見立て通りにオークスのハンドによってもたらされたなあ。

予想外だったのは、森田君がかなりの時間(19秒)を残してPGを終えてしまったことと、オークスのKOが普通に蹴られたことだなあ。KOはグラバーで10m線を越えた付近での再確保をもくろむ(アメフトで言うオンサイドキック)――それもブラインドサイドで――と思っていたんだがなあ。

いい試合でした。アサシンズは栄冠にふさわしい勝者です。試合前、そして試合後の逆風も錦上花を添えるかのごとき趣さえ感じます。カテナイカラナンクセツケテンノカ。高校ジャパンを大量入学させながら年も越せなかった某伝統校の選手諸君がラグビーに対して抱いていた熱意は森田君の胸囲何cm分だったのだろう。タレントは特急券だが、乗車券は別途購入の必要があるんだぞ。

表彰式で賞状やカップなどを授与されるアサシンズの面々をオークスフィフティーンは目をそらさず見ていたなあ。膝に手をついている選手がいましたが、何のことはない、顔の高さだと見えないから低い位置で身を乗り出しているだけでした。うなだれているやつはいない。オークスは最も出遅れた挑戦者なのですから、うなだれている暇はないのだ。そして、2011年度の最大の収穫はこのくやしさだったと言える立場になってほしい。

最後に、今季限りと噂される相田氏の笛について。ここまでは容認、ここからはペナライズという基準はどこにもない。しかし特定のパターンがあり、それは露骨なまでの判官びいきです。敗けている側の反則は寛大どころか放縦さを許し、勝っている側の反則には(比較的に)厳しい。いかに話をおもしろくするかに徹した笛でした。

難を言うなら、密集参加のオフサイドを一切取り締まらなかったので、密集周りがごちゃごちゃしたくらいか。サンゴリアヌスとビッグベアーズの試合を再現してみたいならともかく、周辺を整理して密集戦の駆け引きが伝わるような演出もできたのではないかな。

協会がプッシュしたいチームが上手い具合に敗けていたことも、いかに話をおもしろくするかに徹した笛の入り込める余地となったんだろうなあ。

甘口辛口

サンケイスポーツ紙はさっそくいちゃもんか。この今村忠という御仁は対照的なゲームプランの激突では何ら感興を催さないらしい。

彼のレトリックを分析すると、まずB層の典型と思しき一般視聴者を設定し、このB層視聴者に密集戦の連続ではつまらないと指摘させている。今村氏はB層視聴者の声を採り上げたのではないことは、今村氏以外には、明白だろう。自ら設定したB層視聴者に仮託して平素の主張を述べたにすぎない。もう少し踏み込めば、今村氏こそ典型的なB層である。

なぜ自らの感想として述べなかったのか。それはラグビー競技の不人気の原因すべてをアサシンズの戦術に転嫁するのはさすがに暴論だという程度の知性は持ち合わせていたからだろう。うむ、名門大学のご出身なだけはある。

今村氏の主張、失礼、今村氏がB層視聴者に仮託して述べた主張が本質を突いているのであれば、相撲や柔道をはじめとする格闘技全般は不人気でなければならぬ。なぜか? 土俵やリングという狭いエリアでの攻防に終始しているからだ。プロレスは場外乱闘の余地があるので例外的に人気格闘技となるはずだが。また、水入りとなった相撲で拍手が沸き起こる様子はTVでよく目にするが、それと同様の頻度でブーイングも起きているのだろうか。

これは小生の個人的な価値観ですが、ボールが動かない試合よりもつまらないのは、人が動かない試合だよ。この試合は退屈どころか、今年度の国内試合屈指の名勝負でしたよ。アサシンズのBK展開頻度は低くはありませんでしたし、ラックからの球出しに時間をかけるのはオークスもしている。なぜアサシンズだけが非難されるのかまったくわからん。

日本のスポーツ中継ではTVカメラは常にタイトな映像なので、密集戦だろうが散開戦だろうが大差ない絵になってしまっています。密集戦が退屈な原因がわかりにくさにあるのなら、密集戦が多くなりそうなカードではフロントロー出身の解説者に細々とした技術を解説させればよろしい。ハーフタイムにはTVブースの外で実演解説だ。先代の鳴門親方がNHKでやっていたぞ。

密集戦に自らの存在意義を賭けている/賭けることを余儀なくされている選手が実在するのだ。そうした人たちがテクニックや駆け引きとは生涯無縁だったとは思えない。証言してもらえ。全員が話し上手というわけにはいかないだろうが、誰だって最初はそうだ。

さらに言えば、日本のスポーツマスゴミは試合の流れについて何の情報も提供しない。選手に試合のポイントを語らせて文字に起こしているだけだ。試合を目撃するのは時間の無駄と感じている報道陣は少なくないのではないか。そんなことだからプレイの意味や意図を読み解くどころか、ちょっとのことで逆ギレしちまうわけだ。みっともねーな。B層読者どころか、送り手の側までが与えられることを当然としては心得違いだ。

今村氏は犬モールの蔓延に警鐘を鳴らしただろうか。きよみゅのファイナルラグビーに異を唱えただろうか。そもそもこの決勝戦を観て(TV録画も可)ものを言っているのかどうかも疑わしいのだが。

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©SERPODA 作成:2012-01-15